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大阪地方裁判所 昭和34年(ワ)2357号 判決 1968年7月22日

主文

原告に対し、

一、被告木元は、別紙目録第二物件につき、昭和三三年三月二八日大阪法務局今宮出張所受付第七二〇二号同年同月二七日付売買予約を原因とする所有権移転請求権保全仮登記および同年一二月一五日同法務局同出張所受付第三二六八七号同年同月一三日付売買を原因とする所有権移転登記の各抹消登記手続をせよ。

二、被告福森は、同物件につき、昭和三三年一月一〇日同法務局同出張所受付第二七五号所有権保存登記および昭和三八年四月二七日同法務局同出張所受付第九一二七号同年同月二六日付売買を原因とする所有権移転登記の各抹消登記手続をし、原告から金三、〇〇〇、〇〇〇円の支払を受けるのと引換に、別紙目録第一物件および同第二物件を明渡せ。

原告のその余の請求を棄却する。

訴訟費用は、被告らの負担とする。

事実

第一、当事者の申立

一、原告訴訟代理人

(一)  訴え変更前

「原告に対し、一、被告木元は、別紙目録第一物件(以下「第一物件」という。)のうち増築部分および同第二物件(以下「第二物件」という。)を収去し、その敷地を明渡し、かつ、昭和三四年一月一日から右明渡ずみまで月二八、〇〇〇円の割合による金員を支払え。二、被告福森は、第一物件のうち増築部分および第二物件から退去し、かつ、金二八〇、〇〇〇円を支払え。訴訟費用は、被告らの負担とする。」との判決ならびに仮執行の宣言を求める。

(二)  訴え変更後

「(第一次的請求)原告に対し、一、被告木元は、第二物件につき、昭和三三年三月二八日大阪法務局今宮出張所受付第七二〇二号同年同月二七日付売買予約を原因とする所有権移転請求権保全仮登記および同年一二月一五日同法務局同出張所受付第三二六八七号同年同月一三日付売買を原因とする所有権移転登記の各抹消登記手続をせよ。二、被告福森は、第二物件につき、昭和三三年一月一〇日同法務局同出張所受付第二七五号所有権保存登記および昭和三八年四月二七日同法務局同出張所受付第九一二七号同年同月二六日付売買を原因とする所有権移転登記の各抹消登記手続をし、第一物件および第二物件を明渡し、かつ、昭和三三年二月一日から右明渡ずみまで月一一二、三三七円の割合による金員を支払え。訴訟費用は、被告らの負担とする。

(第二次的請求)原告に対し、被告福森は、第一物件のうち増築部分および第二物件を収去し、その敷地を明渡し、かつ、昭和三四年一月一日から右明渡ずみまで月二八、〇〇〇円の割合による金員を支払え。訴訟費用は、被告福森の負担とする。」との判決ならびに各金員請求の部分につき仮執行の宣言を求める。

二、被告ら訴訟代理人

(一)  訴え変更前

「原告の請求を棄却する。訴訟費用は、原告の負担とする。」との判決を求める。

(二)  訴え変更後

請求の基礎に変更があるので訴えの変更には異議がある。

第二、請求原因

一、訴え変更前

(一)  原告は、昭和三〇年九月二日、大阪簡易裁判所における和解により、被告福森に対し、大阪市南区順慶町通四丁目八番地の一地上家屋番号同町第八番木造瓦葺平家建店舗兼居宅一棟建築面積九九・三三平方メートル(三〇坪五合)および第一物件のうち増築部分を除いた部分(以下「旧建物」という。)を賃料一カ月四〇、〇〇〇円、毎月末日払、賃貸期間五年間、賃料を二回以上支払わない場合は、なんらの催告をなすを要せずただちに解除することができる旨の約で賃貸した。

(二)  原告は、被告福森に対し、昭和三二年四月二八日到達の内容証明郵便で、昭和三一年一一月分より昭和三二年三月分までの賃料不払を理由に右賃貸借契約を解除する旨の意思表示をした。

(三)  被告福森は、昭和三三年一月ころ、第一物件の増築部分および第二物件を建築して所有権を取得した。第二物件の敷地は、原告の所有である。

(四)  被告木元は、昭和三三年一二月一三日、被告福森から右(三)記載の建築にかかる物件を買受けた。

(五)  よつて、原告は、被告木元に対し、第一物件のうち増築部分および第二物件を収去して、第二物件の敷地を明渡し、かつ、昭和三四年一月一日から右明渡ずみまで右敷地のうち一三二・二三平方メートル(四〇坪)につき、三・三平方メートル(一坪)当り一カ月七〇〇円の割合による賃料相当の損害金計一カ月二八、〇〇〇円の割合による金員の支払を、被告福森に対し第一物件のうち増築部分および第二物件から退去し、かつ、昭和三三年二月一日から同年一一月三〇日までの右敷地のうち一三二・二三平方メートル(四〇坪)につき右同様の計算による賃料相当の損害金計二八〇、〇〇〇円の支払をそれぞれ求める。

二、訴え変更後

(第一次的請求)

(一) 原告は、第一物件および第二物件を次のとおり所有している。

(1) 原告は、旧建物を所有していたところ、被告福森は、昭和三三年一月一〇日までに、第一物件のうち増築部分および第二物件の建築を完成した。右被告福森建築部分は、旧建物に従として接続し完全に一体となつている。すなわち、第一物件のうち増築部分は、二階としての部分で独立の家屋といえず、第二物件は、通路、廊下、階段等すべて第一物件と共通であるかまたはこれに通じるもので、出入口、電気、ガス設備等も独立して設けられていない。

(2) 仮に右附合の主張が認められないとしても、被告福森は、昭和三一年一二月三日原告に対し、右建築部分を贈与する旨約した。

(二) 第二物件につき、被告らのため主文記載のとおり各登記がなされている。

(三) 原告は、被告福森に対し、旧建物を請求原因一(一)記載の約旨で賃貸したが、右賃貸借契約につき、次のとおり解除の意思表示をした。

(1) 原告は、被告福森に対し、請求原因一(二)記載のとおり解除の意思表示をした。

(2) 仮に右契約解除が無効だとしても、原告は、昭和四二年九月二六日の本件口頭弁論期日に、被告福森に対し、昭和三三年八月分以降の賃料不払を理由に右賃貸借契約を解除する旨の意思表示をした。

(四) よつて、原告は、被告木元に対し、右登記の抹消登記手続を、被告福森に対し、右登記の抹消登記手続および第一物件、第二物件の各明渡し、ならびに昭和三三年二月一日から右明渡ずみまで右賃貸借の目的物の建築面積一六三・六〇平方メートル(四九坪四合九勺)に対し賃料一カ月四〇、〇〇〇円の割合により計算した第一物件のうち増築部分および第二物件の延建築面積合計のうち四五九・四七平方メートル(一三八坪九合九勺)に対する賃料相当の損害金一カ月一一二、三三七円の支払を求める。

(第二次的請求)

(一) 原告は、被告福森に対し、第一次的請求の原因(一)記載のとおり旧建物を賃貸し、同(三)記載のとおり右賃貸借契約を解除する旨の意思表示をした。

(二) 被告福森は、昭和三四年一月一日前から第一物件のうちの増築部分および第二物件を建築してこれを所有している。第二物件の敷地は、原告の所有である。

(三) よつて、原告は、被告福森に対し、第一物件のうちの増築部分および第二物件を収去して第二物件の敷地を明渡し、かつ、昭和三四年一月一日から右明渡ずみまで、右敷地のうち一三二・二三平方メートル(四〇坪)につき三・三平方メートル(一坪)当り一カ月七〇〇円の割合による賃料相当の損害金一カ月二八、〇〇〇円の割合による金員の支払を求める。

第三、請求原因に対する答弁

一、訴え変更前

右(一)のうち、賃料を二回以上支払わない場合はなんらの催告をなすを要せず、ただちに解除することができる旨の約であつたとの点は否認する、その余の事実は認める。同(二)ないし(四)の事実は認める。同(五)のうち損害金の点は争う。

二、訴え変更後

(第一次的請求)

右(一)(1)のうち原告が旧建物を所有していたこと、被告福森が原告主張のとおり増築したことは認めるが、その余の事実は否認する。同(一)(2)の事実は否認する。同(二)の事実は認める。同(三)のうち、原告主張の賃貸借をなしたこと、(1)の意思表示があつたことは認める。同(四)の損害金の点は争う。

(第二次的請求)

右(一)および同(二)の事実は認める。同(三)の損害金の点は争う。

第四、抗弁

(訴え変更前の請求および第一次的請求に対し)

(一)  訴外丸紅飯田株式会社は、原告主張の賃料の受領およびその支払方法を定めるにつき原告から代理権を与えられていたところ、被告福森に対し、原告主張の賃料の支払期限を次のとおり各支払期日まで猶予し、被告福森は、各支払期日に支払をしたから、原告主張の解除の効果は発生しない。

(1) 昭和三二年五月六日 昭和三一年一一月分支払

(2) 同年六月六日    昭和三一年一二月分支払

(3) 同年七月五日    昭和三二年一月分支払

(4) 同年八月五日    昭和三二年二月分支払

(5) 同年九月五日および 昭和三二年三月分(二回に)

同月一一日     支払

(第一次的請求に対し)

(二) 被告福森は、父勝蔵の出捐により、第一物件のうちの増築部分および第二物件を建築し、その費用として請負人訴外橘南海雄に金四、五〇〇、〇〇〇円および同松野昭に金二、五〇〇、〇〇〇円を支払つたから原告に対し合計七、〇〇〇、〇〇〇円の有益費償還請求権を有するので、その支払があるまで、第一物件および第二物件の明渡しを拒む。

(訴え変更前の請求および第二次的請求に対し)

(三) 被告福森の父勝蔵は、原告主張の賃貸借契約をした際、原告の代理人大島佐七と、第一物件および第二物件の敷地を賃借する旨約し、同時に、旧建物を二階建に増築する承諾を得た。

第五、抗弁に対する認否

右(一)のうち被告主張の会社が賃料の代理受領権を有したことは認めるがその余の事実は否認する。同(二)は時機に遅れた攻撃防禦方法であり、かつ、訴訟を遅延させるものであるから却下されるべきである。なお、その事実は知らない。同(三)の事実は否認する。

第六、証拠(省略)

別紙

目録

第一物件

大阪市南区順慶町通四丁目八番地上

家屋番号同町第一一七番

一、木造スレート葺平家建店舗兼倉庫 一棟

建築面積 六二・七七平方メートル(一八坪九合九勺)および右の二階増築部分

第二物件

右同所

家屋番号同町第一四一番

一、木造瓦葺三階建店舗兼居宅 一棟

一階面積 一一九・九九平方メートル(三六坪三合)

二階面積 右同

三階面積 右同

ただし、現況は、第一物件に接続している間口六・七三メートル、奥行二〇メートルの矩形をした建築面積各階一三四・五四平方メートル(四〇坪七合)の三階建建物

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